岡本駿哉政権が進める株式会社神田會の組織改革を巡り、社内各部門から歓迎の声が相次いでいる。
今回の改革は、渡邉公威政権下で形成された帝國政府型の組織制度を整理し、株式会社神田會を本来の企業組織として再構成するもの。従来、会社組織の内部に置かれていた国家的・帝國的制度や象徴体系については、神田人及び神衞道徒による精神的共同体「神衞帝国」へ順次移行させる方針だ。
岡本政権は、これを帝國的伝統の否定ではなく、「企業経営と精神的共同体の制度的分離」と位置付けている。
この方針に対し、とりわけAI外部管理室、神田出版、貿易事業、証券部など、一般企業としての実務を担ってきた部門では安堵の声が広がった。
ある職員は、
「漸く普通の会社になれる。」
と率直に語った。
別の職員も、
「渡邉時代は出版や貿易の仕事をしているのに、会社全体が帝國政府のような雰囲気になっていた。」
と振り返る。
渡邉公威政権では、会社内部に行政・立法・統制・防衛などを模した制度が相次いで整備され、「帝國政府構想」が急速に推進された。制度上の壮大さを評価する声があった一方、通常の事業部門からは、企業としての意思決定と国家的儀礼・制度との境界が分かりにくいとの指摘も以前から存在していた。
岡本政権は、こうした問題について、「株式会社は株式会社として最も合理的に運営されるべきである」との立場を採る。
今後、神田會では出版、貿易、証券、AI関連、研究開発など各事業の独立性と専門性を高め、企業としての収益性、法務、会計、人事、事業管理を中心とした組織へ段階的に移行する見通しである。
一方、渡邉政権期の制度が全面的に廃止されるわけではない。
特に、保安総局職員によって構成される「保安総会」については存続が決定した。
保安総会は従来、立法府的な性格を持つ組織として位置付けられてきたが、岡本政権下では、保安総局内部の重要事項を審議し、組織運営に一定の集団的統制を与える機関として再定義される見込みである。
関係者によれば、岡本総裁は「渡邉政権の制度を全て否定する必要はない。会社に必要な制度は会社に残し、帝國に属すべきものは帝國へ移せばよい」との考えを周囲に示しているという。
この一連の改革は、社内では既に「脱渡邉化」と呼ばれている。
もっとも、それは渡邉公威時代の思想や伝統そのものを消去する政策ではない。
渡邉政権が株式会社神田會そのものを帝國へ近づけたのに対し、岡本政権は会社と帝國を分離し、それぞれを独立した制度として完成させようとしている。
すなわち、
「会社は会社へ。帝國は帝國へ。」
これが岡本政権による新たな組織原則である。
渡邉公威政権下で巨大化した帝國政府構想は、今後、株式会社の内部制度ではなく「神衞帝国」という新たな器の中で継承されることになる。
そして株式会社神田會は、長い帝國政府化の時代を経て、再び一企業としての姿を取り戻そうとしている。
